福島県南部に位置する白河市は奥州三古関のひとつ「白河関」があり、みちのくの玄関口として知られてきた。そんなしらかわ地域（※1）では、少子高齢化や人口流出により地域内の人口が減少しており、地域の活力低下を課題としていた。また、地域には魅力的な地場産品等をつくる生産者がいるが、若い世代への認知度が特に低いことも課題であった。そこで、福島県県南地方振興局では、地域の産品に触れ、生産者との交流を通じて、しらかわ地域のファンになってもらうこと目的に、魅力発信事業の公募型プロポーザルを実施。当社の企画内容、料理教室で培ったイベントのノウハウが評価され、受注することとなった。
（※1）しらかわ地域：白河市及び西白河郡、東白川郡の町村

地場産品をつくる生産者との交流を通じて、しらかわ地域の魅力を伝え、地域と多様に関わる関係人口（※2
）予備軍を作っていくことを目的とし、首都圏としらかわ地域でイベントを開催した。首都圏でのイベントでは、より多くの人がしらかわの特産品に触れる機会を作り、地域の魅力を発信した。白河市でのイベントでは、地域ならではの体験や生産者との交流の機会を創出。参加者から事前に「地域や地場産品に対する思い」をヒアリングし、生産者へ共有した上で、交流の場を設けるようにした。

（※2）関係人口：移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉。地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されている。（参考：『関係人口』ポータルサイト「関係人口とは-総務省」https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/about/index.html）

12月～2月にかけて下記のイベントを開催。
■ペアリング料理ショー「福島県しらかわ地域の食材と日本酒を味わう」（東京）
■料理教室「福島県産の日本酒と愉しむ～福島県しらかわ地域の美味しいレシピ～」（東京、横浜）
■福島県しらかわ地域で自然体験「やまつーりずむ」（福島県矢祭町）
■福島県しらかわ地域を体感「酒蔵ツーリズム」（福島県白河市）
ペアリング料理ショーと料理教室は首都圏で開催。料理ショーでは「LA BONNE TABLE」中村和成シェフを迎え、しらかわ地域のお米・野菜・白河高原清流豚を使用した料理を紹介した。また、全国新酒鑑評会で金賞を受賞した有賀醸造（白河市）の新酒や和マッコリとのマッチングを提案。しらかわ地域の生産者も呼び、参加者と交流する場も設けた。別途開催した料理教室でも、しらかわ地域の食材を使ったメニューとお酒のマッチングを楽しんでいただいた。
しらかわ地域のイベントでは「交流会」と題して、生産者との密な交流を図る場を設定。生産者・ファシリテーター・インフルエンサーの3名をアサインし、現地ならではの体験や、生産者との交流の様子を発信した。
「やまつーりずむ」では、農業法人でんぱたの鈴木正美さん、「旅する料理人」こと三上奈緒さん、料理家の長谷川あかりさんを迎え、食材の収穫体験を行い、焚火を囲み生産者と語り合う場とした。
「酒蔵ツーリズム」では、有賀醸造の有賀裕二郎さん、唎酒師の氏家エイミーさん、日本酒ライターの関友美さんを迎え、酒蔵見学の後で、こたつに入りながら生産者と語り合う時間を設けた。

首都圏の料理イベントでは、参加者から「しらかわ地域の食材・お酒の美味しさを知ることができた」「しらかわ地域に行ってみたくなった」という声をいただいた。中には、料理イベントで使用したしらかわ地域のお米を取り寄せた方も。交流会の参加者からは、「生産者と直接話ができたからこそ、地域の魅力をたくさん知ることができた」「しらかわ地域の農業の実態など学ぶことができ、参加してとても良かった」という声があった。福島県県南地方振興局の担当者、しらかわ地域の生産者からは「参加者それぞれが目的意識を持って参加したため、地域の魅力をしっかり伝えられた良いイベントであった」と評価をいただいた。